手替わり-1-

TOP 未使用貨 特年ランキング 手替わり ヘリテイジ モルガン アメリカコイン blog Mail


こちらは、現行銭手替りの仕組みを紹介する部屋です。

平等院の図案が何故変更されたのか

持論を申し上げる前にみなさんはご存じと思いますが、貨幣をプレスする刻印の作り方について説明します。

@粘土原型の製作
貨幣の4倍の図案を基に油粘土で貨幣と同じ凸状の原型を作成します。
A石膏原版の製作
粘土原版に石膏を流し込み凹状の石膏原版を作成します。
粘土原版は再利用は不可?
B電鋳板の作成
石膏原版から電鋳板を製作します。
手順としては石膏原版にメッキをする際に硫酸銅溶液に浸しますので防水処理として鑞に浸し処理します。
このままではメッキが出来ないので鑞に浸した原版表面に黒鉛を塗布して導電体として、溶液に浸して電気メッキ(電鋳)を行います。
この電鋳された凹型石膏原版から銅メッキ部分を剥がしたものが電鋳板と呼ばれる凸型の原版となります。
その厚さは1mm〜1.5mm程度だそうです。
C縮彫原版の作成
電鋳板は銅製のために摩耗しやすいので、電鋳板の表面に硬度の高いニッケルメッキを施して縮彫原版とします。
D種印の製作 
縮彫原版を縮彫機に取り付けて、4倍の大きさの原版から本来の貨幣の大きさの金属に機械刻印します。
刻印されたものを種印と言います。
E極印の製作
種印に手作業で修正を施し、熱処理して硬度を上げて極印素材に プレスした凹状のものが極印です。
極印は焼き入れ焼き戻し等の硬度を上げる処理と印面の最終減摩を行って実用刻印として完成されます。

DEの作業を繰り返す事によって数多くの極印を製作する事が出来ます。

ただし、DEを繰り返す事によって 各種印は劣化していきますので、出来の悪い貨幣や良い貨幣が生産されると推測されます。
文字だけでは判り辛いので下図をご参照下さい。





昭和61年後期の変更に戻りますが、刻印を見る限り明らかに@の粘土原版を作成する図案から変更になっていると思われます。
図案から粘土原型を制作する時のミスなども考えられません。
意味も無く図案を変更する事も考えられないので、プルーフ貨幣を打刻した時に従来の図案では何か問題があったとしか考えられません。
そもそも10円青銅貨の図案は柔らかい銀貨用にデザインされたもの。
青銅貨では無理があったようです。
変更時期から言って私はこの様な持論で考えています。
10円青銅貨は日本が誇る素晴らしい貨幣だと思います。
『泣くな10円!』と言ってあげたいところです。
地方自治の記念貨が10円硬貨の通常貨だったら、地方自治記念貨シリーズももっと盛り上がっていたのではと思うのは私だけでしょうか。
inserted by FC2 system